コドン表は「普遍遺伝暗号」とも呼ばれています。ということは、全生物で全く同じコドン表を使っているようにも感じられるのですが、コドン表が異なる生物は存在するのでしょうか?
進化の過程でコドン表が完成されたということは、コドン表にも揺れがあるのではないかと……。
進化の過程でコドン表が完成されたということは、コドン表にも揺れがあるのではないかと……。
はい。ミトコンドリアや葉緑体などの細胞小器官ではその遺伝子を翻訳する際、現在多くの(ほとんどの)生物が使用する普遍遺伝暗号とは異なる非普遍遺伝暗号を使用しています。また、Candida酵母や原生生物、細菌など少数の生物の中にも普遍遺伝暗号とは異なる暗号を使用するものが確かにいます。
そのため、現在多くの(ほとんどの)生物が使用している遺伝暗号を普遍遺伝暗号とは呼ばず標準遺伝暗号と呼ぶべきだという考えがあります。しかし、非普遍遺伝暗号が使用されている場合にでも、遺伝暗号の一部でのみ異なる遺伝暗号が使用されているにしか過ぎません。即ち、遺伝暗号全体を俯瞰して考えると私自身は非普遍遺伝暗号を一部の例外として考え、多くの(ほとんど)の生物で使用されている遺伝暗号を普遍遺伝暗号と呼ぶ方が実体としては正しく把握できるのではと考えています。
したがって、多くの(ほとんど)の生物で使用されている遺伝暗号を普遍遺伝暗号と呼ぶか、標準遺伝暗号と呼ぶかについては、非普遍遺伝暗号をどう捉えるかの違いに掛っていると言えるでしょう。