遺伝暗号:トリプレットのその先?

質問の人
質問1 GNC→SNS→標準遺伝暗号と来て、この標準遺伝暗号がまた何か新しいものになる可能性はあると思いますか?あるいは、トリプレットという形式のもとでシングレット→ダブレットと発展し、標準遺伝暗号で実質的にもトリプレットになり、これで大方完成ではないかとお考えでしょうか。
質問の人
質問2 「遺伝暗号はなぜ初めからトリプレットの形式を取ったか?」という問いが立てられると思うのですが、これはtRNAが一度に三つの塩基を運ぶから、というようなtRNAありきの説明以外にも、何か妥当なものがあるのでしょうか。

(回答1)
もちろん、今後も多少の変化は起こるのだと思いますが、遺伝暗号の変化(具体的にはコドンとアミノ酸の対応関係の変化)が起こりますと、変化したコドンを使っている遺伝子のすべての個所で別のアミノ酸と置換されること、したがって、多重変異を生じます。その意味では一旦確立した遺伝暗号は変化できなくなります(遺伝暗号が凍結されることになります)。
したがって、変化が可能な個所は停止暗号として使用されている三つの停止コドンのみとなります(21番目のアミノ酸:セレノシステイン、22番目のアミノ酸:ピロリジンがその例です)。このように、現在の遺伝暗号は大方完成しており、変化することはほとんどない、また、今では遺伝暗号が十分に進化していますので変化する必要もほとんどない状態になっていると考えられます。

(回答2)
遺伝暗号を実現させているのが tRNA なので、私は「遺伝暗号はなぜ初めからトリプレットの形式を取ったか?」という問いに対して、tRNA ありきの説明以外には無いように思います。