GADVタンパク質による擬似的な自己複製へのGNC遺伝子の関与

質問の人
GNC暗号に関して、この段階ではGADVタンパク質による擬似的な自己複製を想定されているとのことですが、この過程にGNC遺伝子はどのように関与しているんでしょうか。

元々、私は、ミラーの実験で知られていますように、原始大気への放電現象等を通して蓄積した [GADV]-アミノ酸が海辺などの岩の窪み等の中で蒸発乾涸が繰り返される中で、多数の [GADV]-タンパク質(実際には、[GADV]-ペプチドの集合体)が合成されること、この [GADV]-タンパク質は配列が異なるため、同じものではないのですが、いずれも互いに良く似た水溶性で球状の構造をとり得ることから、タンパク質でも自己複製ではないけれど擬似複製ができると考えたのです。これが、GADV 仮説を思いついた最初でした。
 その後、[GADV]-タンパク質の働きによって、原初tRNAが生まれ、GNC原初遺伝暗号が形成されたと考えています。したがって、一本鎖や二重鎖の(GNC)n遺伝子ができるまでは合成される[GADV]-タンパク質は同じアミノ酸配列を持ったものではありません。そのため、擬似複製と呼べるものしかできません。
 しかし、原初tRNAが形成され、それをきっかけとして一本鎖の(GNC)n遺伝子が、そして二重鎖の(GNC)n遺伝子ができた後は、同じアミノ酸配列を持った成熟した[GADV]-タンパク質を数多く合成できるようになったと考えています。ただ、こうして合成された[GADV]-タンパク質の合成を自己複製とは呼んではいないのですが。