第2回けいはんなラボセミナーが開催されました

大阪産業大学教授で株式会社オーエスユーの代表取締役の山田修氏に「非酸化物セラミックスと生命誕生」と題して講演していただきました。燃焼により非酸化物セラミックスを合成することに成功されたということで、そのデモンストレーションもしていただきました。


山田先生の講演要旨は、下記に示すように、約38億年前に、この非酸化物セラミックスが存在し、生命誕生に関与した可能性があるということです。今後、池原の「GADV仮説」とコラボした実験が期待されます。

現在,ナイトライドやカーバイドに代表される非酸化物セラミックスは,天然に存在しない。しかし,地球誕生後の26億年間は窒素やメタンを主成分とする大気であった。この大気中にチタン含有隕石が飛来した場合,大気摩擦により隕石は急速に数千度に加熱される結果,当時の大気成分と化学反応して,炭化チタンや窒化チタンが生成され,海洋に落下した場合は急冷される。この温度履歴と生成過程は,燃焼合成という非酸化物セラミックス製造方法で再現することが可能となった。原始生命は地球誕生の7億年前後という早い段階で発生したと言われている。すなわち非酸化物セラミックスが存在できる時期である。このセラミックスの特徴は電気導電性を有することであり,鉱物などの酸化物には無い特徴である。また急速加熱から急冷という温度履歴により,セラミックスは微細な電荷が分布した電池構造となることが分かっている。一方,理化学研究所は,2015年に光合成と化学合成に代わる第3の有機物を合成する生物として,電気で生きる微生物(電気合成微生物)の存在を見いだした。特に,深海底や地中などの生物が利用できるエネルギーが極端に少ない環境においては,海底を流れる電流を利用する電気合成微生物が深海生命圏の一次生産者となる可能性が議論されている。この仮説と電気導電性セラミックスを用いて,今後,生命誕生を探る研究開発が期待される。