GADV仮説を実証するにはどうしたら良いですか?

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質問の人
GADV仮説に説得力があるととしても、それが実証できないとなかなか多くの人々の納得を得るのは難しいのではないでしょうか?
実験的な実証ができないものでしょうか?

これまで私は、主に、細菌遺伝子の塩基配列やタンパク質のアミノ酸配列などのデータベース(これらは実験によって得られたものなので実験結果と同等の実証する力を持っていると考えています)の解析を中心に研究を進めてきました。それでももちろんのことGADV仮説を実証するには実験的な証拠が重要であると考えています。しかし、私が奈良女子大学を今(2021年8月)から約13年前に定年退職し、現在は研究場所も共同研究者もいないこともあり、GADV仮説の最大の弱点が、実験的な証拠の少ないことです。そんなこともあり、大石先生(G&L共生研究所長)のご支援を受けて、「けいはんなプラザラボ」の一室を借り以下のような実験をしようとしたこともあります。

GADV仮説で予測される、

  • 蒸発乾涸を繰り返すことで得られるGADVペプチドによる多様な触媒活性の存在
    • この実験の中では、まず、GADVタンパク質ワールドを形成するのに必要と思われる様々な触媒活性の検出
    • 蒸発乾涸を繰り返すことで得られるGADVペプチドによるペプチド形成反応の検出(GADVペプチドの形成)
    • ヌクレオチドやオリゴヌクレオチドの合成活性の検出
  • さらには、GNC遺伝暗号の成立にとって重要なGADVアミノ酸とGNCを含むオリゴヌクレオチドとの間での特異的相互作用の検出
  • ペプチド合成機を用いて合成した20アミノ酸や50アミノ酸、さらには、100アミノ酸程度の長さのGADVペプチドやGADVタンパク質の三次構造解析

などです。しかし、金銭的な問題もあって現在はその実験も出来なくなっています。

一方、その後もデータベースの解析等を中心に研究を続けた研究成果をまとめ、最近(2021年7月)、英文著書:タイトルは、Towards Revealing the Origin of Life-Presenting the GADV hypothesisをSpringer Natureから出版したのですが、その中で生命は[GADV]-ミクロスフェアとその内部での代謝をきっかけとして生命が誕生したという考えを提出しています。そんなこともあって、現在は、[GADV]-ミクロスフェアが本当に生長・分裂し、増殖できるかという実験を何とか実施し、GADV仮説を支持する実験的証拠を得たいと考えています。そして、期待通りの結果が得られれば、生命はGADV仮説が推定するように生まれたとの確証が得られるのではと考えています。

(2021年8月24日更新)