生命の起源を研究するのは非科学的か?

生命は約38億年前の原始地球上で誕生したと考えられている。したがって、生命の起源を研究することは、約38億年というはるか遠い昔の原始地球で起こったことを研究することである。そのような遠い過去に起こった現象を現在の研究室では再現できない。そのため、生命の起源を研究することは非科学的だとの意見がある。本当にそうだろうか。

生命の起源のように、極めてその解決が難しいと思われる問題を解決するまで、多くの人にはその解決が不可能に思えることも多いだろう。だからそのような研究をすべきではないとの意見も良く出ることである。しかし、私はそうは思わない。なぜなら、現在の地球に多くの生命が生存しているのは紛れもない事実である。したがって、生命が遠い過去であったとしても、この地球上(もしくは、この宇宙のどこか)で生まれたことは間違いがない。そのような事実がある限り、いつか生命の起源という難問も解決される時が必ず来るだろう。

また、生命の起源を研究することは、生命の基本システムを構成する遺伝子や遺伝暗号、そしてタンパク質の基本的性質を明らかにすることでもある。したがって、生命の起源を研究することは、非科学的でもなんでもなく、いつか誰かが解決する重要な研究テーマの一つであると私は考えている。